君と奏でるノクターン
先程の二重奏の余韻さえも一掃し、店内が詩月のピアノの調べに包まれる。

「♪Und Sie denken, dass Liebe nur ....... F・r das Gl・ck und die starke Denken Sie daran, im Winter.♪」

掠れた細い声が旋律に乗り、歌詞が心に浸透していく。

繊細で優しいピアノの音色が、歌詞の切なさを和らげる。

「♪Im Fr・hjahr wird die Rose.♪」

詩月は曲を弾き終え、さらにピアノを弾く。

先ほど弾いたグノー、バッハの「アヴェ・マリア」とは違う。

「これは……シューベルトのアヴェ•マリア」

先にピアノを奏でた男性が思わずため息混じりに呟く。

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