君と奏でるノクターン
「うん、周桜くんは占いなんて非科学的なモノは信用しないっ、て取り合わなかったけれど、彼はやっぱり天才だと思う」


「その天才が直々に演奏をしたいって、電話してくるんだろ!?」


「だから、余計に不安なのよ」

郁子と貢が話をしていると、近くの席から「ねぇ、この画像って周桜さんじゃない!?」と言う声が聞こえてきた。


「弾いてるのって、確か学内オケ(学内管弦楽部)が定期公演に、第九と一緒に演奏した曲よね!?」

貢が不意に立ち上がり、会話のする方へ駆け寄り「ちょっと失礼」と、学生の開いたスマートホンを覗きこむ。


「……周桜が『ヴァイオリンロマンス』を」

呟いた貢の声が震えている。


「悪いが、音量を上げてもらえないかな」


「えっ……ええ」

学生は戸惑いつつ、音量を上げる。


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