シンデレラの落とし物
ヴェネチア~揺れる気持ち~
ローマ・テルミニ駅からユーロスターに長時間揺られ、たどり着いた先。
列車を出てからすぐに気づいた潮の香り。
駅を出た美雪の前に広がる光景に唖然とし、足が止まる。
ちょうど目の前で水上バス(ヴァポレット)が止まるところだった。赤く染まり始めた夕刻の空。頭上をカモメが鳴きながら飛んでいく。
「秋くん、なんでわたし、ヴェネチアにいるの……」
隣りに立つ秋を見上げる美雪の長い髪が潮風に揺れる。
「よし、予定通り」
腕時計を確認し、秋は満足そうに頷く。どうやら美雪の声は潮風に流れてしまったようだ。
「あとはホテルだな」
「ほっ……テル!?」
秋の発言に美雪の声がひっくり返る。
確かに時間も時間だから泊まり先は確保しないといけないけど……。
もちろん深い意味はないんだろうけれど、秋くんの口からホテルという言葉がでて戸惑ってしまった。
「水上バスに乗ってサンマルコ広場へ向かおう。その近くにオレが取ったホテルがあるから、空いてる部屋があるか確認しよう」
列車を出てからすぐに気づいた潮の香り。
駅を出た美雪の前に広がる光景に唖然とし、足が止まる。
ちょうど目の前で水上バス(ヴァポレット)が止まるところだった。赤く染まり始めた夕刻の空。頭上をカモメが鳴きながら飛んでいく。
「秋くん、なんでわたし、ヴェネチアにいるの……」
隣りに立つ秋を見上げる美雪の長い髪が潮風に揺れる。
「よし、予定通り」
腕時計を確認し、秋は満足そうに頷く。どうやら美雪の声は潮風に流れてしまったようだ。
「あとはホテルだな」
「ほっ……テル!?」
秋の発言に美雪の声がひっくり返る。
確かに時間も時間だから泊まり先は確保しないといけないけど……。
もちろん深い意味はないんだろうけれど、秋くんの口からホテルという言葉がでて戸惑ってしまった。
「水上バスに乗ってサンマルコ広場へ向かおう。その近くにオレが取ったホテルがあるから、空いてる部屋があるか確認しよう」