シンデレラの落とし物
美雪はバッグに入れた包み紙を出した。
別れる前に、秋がお店を探して買ってくれた、ミルフィオリの時計だ。
包み紙から取り出した箱を開ける。

「……?」

可愛らしいミルフィオリの時計の上に、折りたたまれた一枚の紙。
美雪は見覚えのないものに首をかしげる。なんだろう? 紙を開いた。そこには。メールアドレスと電話番号、そして最後に秋と書かれたサイン。

秋くん……!

予想外の贈り物に、感動で胸が震えた。
もう会えないと思っていたのに。
また会うチャンスを、秋くんが作ってくれた……!


美雪はそのメモを胸に抱きしめ、喜びに浸った。
< 62 / 81 >

この作品をシェア

pagetop