それは薔薇の魔法
「どうでしょうか……」
着替えたドレスでシェイリー様のもとへ行くと。
「きゃあぁっ!!さっすがローズ、私の娘!!
かわいいわぁ〜〜っ」
ぎゅうっと抱きしめられて一瞬目の前に星が舞う。
み、見た目を裏切って力が強いです、シェイリー様。
「じゃあ次はアクセサリーね!」
「ア、アクセサリーもですか?」
もちろんよ、と胸を張るシェイリー様。
……そんなものを身につけるなんて、畏れ多いわ。
ごくり、と息を飲むわたしに対して、シェイリー様は満面の笑顔。
「うふふっ、このドレスにはこのチョーカーよね。イヤリングは…これね!」
「は、はぁ……」
こんな高そうなものを……
照明に反射して、イヤリングのピンクの石がキラリと光る。
「綺麗……」
「でしょう?つけてあげるわ」
「えぇっ?」
そんな、シェイリー様にそんなことをさせるなんて!
あたふたするわたしに、シェイリー様は手際よくチョーカーやイヤリングをつけていく。
あぁ、こんなお金の塊みたいなものをつけるなんて、考えてもみなかったわ。
「じゃあちょっとお化粧もしましょうね」
「えっ?」
「しましょう、ね?」
「……はい」
もう、反抗しても無意味ですよね。
それに……
チラリと見ると、嬉しそうに笑っているシェイリー様の顔。
この笑顔が見られるなら、いいかしら。
クスリ、と秘かに笑みをこぼして、わたしは目を閉じた。