君色-それぞれの翼-
食べた後はまた過去問の片付け。
でもやはり集中力はそう長く続かないもので、途中からあたしは眠り、その間戸谷君は教科書に雑誌を挟んで読んでいた。
丁度外も暗いので早目に切り上げよう、という事になり、5時30分、あたしたちは塾を出た。
当然迎えは来ていないので、あたしは自動販売機に凭れて迎えを待つ。
隣では戸谷君がしゃがみ込み、MDプレーヤーで音楽を聴き始めた。
「何聴いてるの?」
あたしは戸谷君の隣にしゃがみ込む。
「……洋楽。」
戸谷君は「聴くか?」というように、イヤホンを片方あたしに差し出した。
「…ありがと……」
イヤホンを耳にかけると、落ち着いた音楽が聞こえてきた。
…戸谷君によく似合う音楽。
あたしたちはずっと、無言で音楽を聴いていた。
ライトが当たり、顔を上げる。
お母さんが来た。
「あ、あたし帰るね。」
そう言ってあたしは戸谷君にイヤホンを返した。
立ち上がると、戸谷君も続いて立ち上がる。
「じゃ、俺も帰るわ。」
しかし、辺りを見回しても迎えらしき車は、見あたらない。
「え…迎え…」
「俺、今日徒歩。」
そう言って戸谷君はあたしに背を向けた。
待っててくれたの?
あたしの迎えが来るまで…
寒いのに…
暗いのに…
「戸谷君!!!!」
あたしが急に大声を出したので、戸谷君は驚いたのか、勢いよく振り向いた。
「…ありがと!!…気をつけてね!!」
緊張で震えたあたしの声に、戸谷君は優しく微笑んでくれた。
ヒラヒラと振ってくれた手にドキドキして。
あたしは大きく手を振った。
でもやはり集中力はそう長く続かないもので、途中からあたしは眠り、その間戸谷君は教科書に雑誌を挟んで読んでいた。
丁度外も暗いので早目に切り上げよう、という事になり、5時30分、あたしたちは塾を出た。
当然迎えは来ていないので、あたしは自動販売機に凭れて迎えを待つ。
隣では戸谷君がしゃがみ込み、MDプレーヤーで音楽を聴き始めた。
「何聴いてるの?」
あたしは戸谷君の隣にしゃがみ込む。
「……洋楽。」
戸谷君は「聴くか?」というように、イヤホンを片方あたしに差し出した。
「…ありがと……」
イヤホンを耳にかけると、落ち着いた音楽が聞こえてきた。
…戸谷君によく似合う音楽。
あたしたちはずっと、無言で音楽を聴いていた。
ライトが当たり、顔を上げる。
お母さんが来た。
「あ、あたし帰るね。」
そう言ってあたしは戸谷君にイヤホンを返した。
立ち上がると、戸谷君も続いて立ち上がる。
「じゃ、俺も帰るわ。」
しかし、辺りを見回しても迎えらしき車は、見あたらない。
「え…迎え…」
「俺、今日徒歩。」
そう言って戸谷君はあたしに背を向けた。
待っててくれたの?
あたしの迎えが来るまで…
寒いのに…
暗いのに…
「戸谷君!!!!」
あたしが急に大声を出したので、戸谷君は驚いたのか、勢いよく振り向いた。
「…ありがと!!…気をつけてね!!」
緊張で震えたあたしの声に、戸谷君は優しく微笑んでくれた。
ヒラヒラと振ってくれた手にドキドキして。
あたしは大きく手を振った。