君色-それぞれの翼-

いよいよ冬期講習最終日。



先に過去問をやり終えたのはあたしだった。


「あたしの勝ちっ!!」

喜ぶあたしを、戸谷君は蔑んだような目で見る。

「速さより、点数。」

自信満々の戸谷君の言葉にあたしはたじろいだ。

そして、戸谷君はあたしの10分後に解き終えた。



********


「先生ー、答案くださーい。」
再び、ジャンケンで負けたあたしが職員室に乗り込んだ。
「あら、本当に終わらせたの?」
「は?」
先生の言葉にあたしは気の抜けた声を出した。
どうやら、過去問の残りを年末年始の宿題にしようとしていたらしい。

少しムスッとしながら採点していたあたしの採点用紙を覗き込みながら戸谷君は言った。
「…宿題無くなって良いでしょ。あ、総合点数は…俺の方が25点高いな。…俺の勝ち。」
戸谷君はニヤッと笑った。

25点も?

悔しいが、先程までの不満までも吹き飛ばす戸谷君の表情には…勝てなかった。



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