君色-それぞれの翼-
「戸谷………君………」
驚きと嬉しさで声が出ない。
「ごめん、遅れた。」
戸谷君は額の汗を拭いながら言う。
「ちゃんと……合格……?」
心臓が激しく脈打ち、言葉が上手く繋がらない。
声も震える。
「余裕。」
戸谷君は笑ってピースサインを贈った。
あたしは緊張の糸が解け、目茶苦茶に喚いた。
「良かったぁ…!!遅れないでよ…!!………良かったぁ…」
戸谷君はまた笑い、あたしの頭を優しく撫でてくれた。
頑張って良かった。
一緒に合格出来て良かった…
*********
「合格おめでとう!!」
先生達に祝福され、坂田先生が作ったケーキを食べた。
苺のケーキ。
あたしは苺を食べる戸谷君が可愛くて仕方が無かった。
そして何より
これからも戸谷君と一緒にいれることが
嬉しくて仕方が無かった。