君色-それぞれの翼-

行ったら戸谷君に全部聞こう。


羽坂に入った理由。
雪遊びの時に言いかけた事。
あたしに向かって「ちょっと違う」と言った意味。


今日、全部聞く。




――――――――


「こんにちは~。」
教室に入った途端、あたしは戸谷君の机に直行した。
「約束!!」
「……は?」
当然、戸谷君は意味が分からない、という反応をする。
あたしは少し頬を膨らませ、「理由!!」と問い詰めた。

「あー…」
戸谷君はいつめこういう状況に晒されるといつも目を逸らす。今もそうだ。
あたしはそんな戸谷君の視線をしつこく追い続けた。

「ひくなよ?」
戸谷君は溜め息を吐き、ようやく折れた。










「約束したから。」






戸谷君はまた視線を逸らした。
「…誰と?」






< 35 / 99 >

この作品をシェア

pagetop