君色-それぞれの翼-



先生が出て行ってから数分後。

あたしは…何が楽しかったのか、カーテンに巻き付いて遊んでいた。


今考えるとあたしはちょっと変だったと思う。


こんな事しなければ、もっとマシな出逢い方をしてたかもしれない。


カーテンに巻き付いていた時間は、自分が思っていたより長かった様で。


顔を上げたと同時にドアが開いた。


「…………」
「…………」


ドアを開けたのは男の子。
そして彼はあたしを見るなり顔を隠して笑いを堪えていた。

自分がやっていることを大しておかしく思っていなかったあたしは、失礼な人だと思っていた。

あたしが変だったんだけど。

「……誰ですか?」
「戸谷皐。」
「…………」
「…………」


え?


誰かが入って来たら、当然その子のことをクラスメイトと認識する。

そんなこと位分かってた。

でもあたしは驚いた。








"戸谷皐"を女の子だと思っていたから。








戸谷君は普通の表情に戻ると、希咲荷物が置いてある隣の席に座り、雑誌を出して読み始めた。




< 4 / 99 >

この作品をシェア

pagetop