君色-それぞれの翼-
キョヒ
一日で終わるかなーとか思って放置していた宿題は思ったより多くて
夏休み最終日は徹夜だった…。
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「おはー、希咲!!どうしたの、そのクマ!!」
「おはよー苗…宿題終わんなくて…」
「何やってんの~」
笑顔の苗を見ると、落ち着く。
今は恋より…ずっと友達と一緒にいる方が良いのかなぁ…
「苗ー」
「んー?」
「好きな人…いる?」
あたしの唐突な質問に、苗は固まった。
あ、いるんだ。わかりやす。
「うん。」
そう言った苗は苦笑いだった。
「訳分かんない人でねー」
階段をあたしより数歩速く上がりながら苗は続ける。
「恥ずかしがり屋で意地っ張りで…意味分かんないの。」
3階に着くと、しんどいのだろう、大きく息を吐いた。
「でも優しくて…やっぱ好きだな。」
その時の苗の表情は暗くて…
でも笑ってて…
不思議だった。
辛い片思いをしてそうなのに
笑顔も零してるんだから。
「この話題おわりー!!」
苗は大きく伸びをして、教室に入っていった。