君色-それぞれの翼-
それから二日間あたしは学校を休んだ。
「…あたしは馬鹿だ。」
せっかく熱が下がって学校に行ったのに、今のあたしはテンションが低い。
「馬鹿だ馬鹿だ馬鹿だ…」
あたしは何度も連呼した。
「どうしたの?希咲ちゃん」
と、杏奈。
「うん。今に始まった事じゃないよ。」
と、南。
「何が?」
と、苗。南よりムカついたのは郁那。
「やっと気付いたか。」
あたしは思いっ切り郁那を叩いた後、再び頭を抱えた。
「マフラー…忘れた…」
自分のマフラーじゃない。
戸谷君が貸してくれたマフラー。
ちゃんと綺麗に畳んで上等な紙袋に入れて机の上に置いておいた。
なのに。
忘れた……。
「一橋…」
「わっ!!」
あたしは慌てて顔を上げた。
「へ…」
ここは2組だよね?と、慌てて周りを確認する。
「え…と…戸谷君?」
信じられない。
戸谷君が自分の所にくるなんて。
「もう体調は…」
「あっ、うん!!大丈夫だよ。ありがと…」
「そうか…じゃあコレ…」
戸谷君は数枚のプリントをあたしにくれた。
「この間の宿題の答え。コピーしてきた。」
「あ…」
綺麗な大人っぽい字。
分かりやすくまとめてあるプリントに、あたしは見惚れた。
「あ…ありがと!!」
「いや…じゃあ。」
戸谷君はフッと微笑んだ。
あ……笑顔………。
身体の力がスッと抜ける。
あたしは熱くなった顔を軽く叩いた。
「あ"、マフラー…」
言うの忘れてた…。