一途なあたし。
『ガッチャン』
テラスの重たい扉をあけ、あたしたちは
あたりを見渡す。
「ここら辺にしよっ....あ...」
リサが「ん~」と伸びをしながらそう言って
指差した先には...
「あっチビ!!」
今一番、一番みたくない顔があった。
旬はあたしを指差してニヤッと笑う。
その姿はいつもと変わらなくてあたしも
ちょっと笑みをこぼしたのは一瞬で、
旬がお昼を食べる男女6人の中に
...エマちゃんを見つけて、あたしは
緩んだ唇をぐっと噛みしめた。
あたしは旬の横を無言で通り過ぎようとしたけど
『グイッ』と腕を掴まれた。
「ちょっと...なに?」
いつもの旬なのに、あたしの存在にかまってくれて
本当は嬉しいはずなのに
1人の存在があたしの気持ちをを180度動かしていて、
笑顔になれる気がしなかった。
「何じゃない、なんでお前怒ってんの?」
旬は上目遣いで座ったままあたしの顔を覗き込む。
「おっ怒ってなんかないし」
「怒ってるだろ、明らかに変」
「怒ってないってば!!」