一途なあたし。





「いた。」



「えっ...なんで」



そこには息を切らし気味の...



旬が立っていた。




「...ったく、なんで逃げるんだよ(笑)」


「だっ...て..」


旬はそういってドカドカと教室に入ってくると


身をかがめてあたしの顔をじっと覗き込んだ。


旬の黒目が大きくて女の子みたいに可愛い目に

あたしを写していて、


ちょっと伸びたふわふわの前髪があたって


くすぐったい。


「泣いてんの?」


「泣いて...ない」


けど嘘は苦手で、旬が優しくあたしの頭をぽんぽんとなでるから

大粒の涙が流れた。



「泣いてんじゃん」



ふっと笑ったその笑顔が、


あたしは大好きで、


独り占めしたくなって、


けどなんだか遠い。


すぐ目の前にいるのに


手は届かなくて


...こんなに、こんなに...好きなのに



あたしの想いはきっとこれからもずっと


一方通行なんだろうな...。



そう思うとさらに涙があふれてくる。



けど、あたしが泣いている間、

旬はずっと黙って隣にいてくれた。


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