予想外の恋愛
車は夜の街を突き進んでいく。
そわそわして横を見ると、真剣な顔。
じーっと見つめているとふいにこっちを見た朝田さんと目が合う。
すると片方だけ口角を上げて、ニヤッと笑われた。
ぱっと目をそらし窓からの景色を見た。
あんな表情一つでもう心臓は壊れそうだった。
そうして辿り着いたのはとあるホテルの最上階にあるフレンチのお店。
なんのためらいもなく入って行こうとするその腕をとっさに掴んだ。
「いやいやいや、さすがに落ち着こう?」
「お前がな。俺は腹が減ったんだ」
「いらっしゃいませ」
「予約してた朝田です」
「お待ちしておりました。こちらへどうぞ」
なるほど予約していると。
いったいいつの間に。
案内された席についても落ち着かない。
「最初からここに来るつもりで…?」
「ドレスコードの店だろ、どう見ても」
「だから朝田さんもそんなキッチリした格好してたんですね…。どうして言ってくれなかったんですか?わざわざ服買ってもらう必要なんて…」
「はあああ」
わざとらしい盛大な溜息をついて、テーブルに肘をつく朝田さん。
「お前はなーーーんにもわかってねえ」
「すいませんちょっとイラっとします」
「なーーーーんもわかってねえなお前」
「腹立つー!」
説明もされず連れてこられてわかるか!と叫びたいところだが、場所を考えてどうにかとどまる。
そこへ食前のスパークリングワインが運ばれてきた。
車で来ていることへの配慮で、朝田さんのほうはノンアルコールになっているらしい。