予想外の恋愛
「土曜日、あいつどんな感じだった?」
「えと、買い物してご馳走になったんですけど…いつもよりちょっと…」
「うん」
「…様子が違うかったといいますか」
本当のことを言うと、様子が違うどころではなかった。
だけどありのままを話すのはなんとなく憚られた。
「優しかった、とか?」
「…それもあります」
「そっか。あのさ、あいつは自分から言わないだろうけど、俺がどうしてもナギサちゃんには教えてあげたいから言うね」
「な、なんですか」
「あの日は、あいつの誕生日だったんだよ」
「………えっ?」
今なにか衝撃的なことを言われた気がする。
「本当だよ。朝田博人はあの土曜日に28歳になりました」
まじか。
じゃあなんだ、私は朝田さんの誕生日に一日中奴と一緒にいたということか。
まるでデートみたいに、買い物して色々買ってもらって素敵な場所でディナーして。
おめでとうすら、言わせてもらえずに。
「そんな、どうして…」
「そればっかりは俺が言うことじゃないよ。あいつがどんな考えでナギサちゃんと会ったのかは知らない。だけど俺はあいつがナギサちゃんに連絡するって予想してたから、無理言って予定空けててもらったんだ。ありがとうね」
何も知らずに戸惑いながらついていく私を、朝田さんはどんな気持ちで見ていたのか。
あそこまでロマンチックな演出をしておいて、どうして言ってくれなかったのか。
「ナギサちゃんは…朝田のこと、嫌い?」