予想外の恋愛



「土曜日、あいつどんな感じだった?」

「えと、買い物してご馳走になったんですけど…いつもよりちょっと…」

「うん」

「…様子が違うかったといいますか」


本当のことを言うと、様子が違うどころではなかった。
だけどありのままを話すのはなんとなく憚られた。


「優しかった、とか?」

「…それもあります」

「そっか。あのさ、あいつは自分から言わないだろうけど、俺がどうしてもナギサちゃんには教えてあげたいから言うね」

「な、なんですか」

「あの日は、あいつの誕生日だったんだよ」

「………えっ?」


今なにか衝撃的なことを言われた気がする。


「本当だよ。朝田博人はあの土曜日に28歳になりました」


まじか。
じゃあなんだ、私は朝田さんの誕生日に一日中奴と一緒にいたということか。

まるでデートみたいに、買い物して色々買ってもらって素敵な場所でディナーして。

おめでとうすら、言わせてもらえずに。


「そんな、どうして…」

「そればっかりは俺が言うことじゃないよ。あいつがどんな考えでナギサちゃんと会ったのかは知らない。だけど俺はあいつがナギサちゃんに連絡するって予想してたから、無理言って予定空けててもらったんだ。ありがとうね」


何も知らずに戸惑いながらついていく私を、朝田さんはどんな気持ちで見ていたのか。

あそこまでロマンチックな演出をしておいて、どうして言ってくれなかったのか。



「ナギサちゃんは…朝田のこと、嫌い?」



< 115 / 218 >

この作品をシェア

pagetop