予想外の恋愛
「…二次会、楽しかったな」
「あ、そうだね」
綾の二次会のことを言ってるのだろう。
私にとっては、とても大変な日だった。
近藤くんに告白され、お姫様抱っことかいう恥ずかしいことをされ、朝田さんとはトイレ前で衝突するハプニングがあった。
その時の朝田さんの間近に迫った表情を思い出して、慌てて頭を振った。
「綾のやつ、幸せそうだったな」
「うん、すっごいキレイだった。旦那さんも優しそうな人だね」
「転勤なんだってな。まあ、結婚にはいいきっかけだよなー」
「旦那さん年上なんだよね。ちょうどいい年齢かも」
「うん。というか…俺はあの最後のゲームばっかり覚えてる」
その話題に触れないようにしていたのに…近藤くんはこんなに積極的な人だっただろうか。
近藤くんにペアの指名をされた瞬間、朝田さんと目が合ったことを思い出した。
すごく驚いたような顔をしていて、だけど話せるような距離にはいなくて。
どう思っただろう。
…別にどうも思わないか。
「ナギサ、おかわり頼む?」
「え?あ、うん!」
…気付けば朝田さんのことばかり考えている。
今は近藤くんと一緒にいるのに、どうしてこんなに頭の中に登場してくるのか。
必死に追い出そうとしても、いつの間にかまた出てきている。
前までこんなことはなかったのに。
いくらカフェで喧嘩しても、バイトを終えて家に帰ったら綺麗さっぱり忘れられていたのに。
こんなにも頭に浮かんでくるようになったのはいつからだろうか。