予想外の恋愛



私は今までこの人の何を見ていたのだろう。何を分かったような気になっていたのだろう。

この人はとても弱い人だ。
それを隠して生きている。

だれかが側にいて守っていてあげないと、優しさという防御壁にいつか自分自身が飲み込まれてしまう。

その役目は私に務まるだろうか。



「こんなこというなんてずるいってわかってる。ナギサの重荷になりたいわけじゃない。だけど全部俺の中のほんとの気持ちなんだ」

「近藤くん…」

「俺だって、色んな覚悟して来てるんだ。こんぐらい言わせてくれよな」


さっきとは違う笑顔でそう言った近藤くん。
勢いよくビールを煽って、テーブルにドン、とジョッキを置いた。


「とりあえず、今日はもうちょっと飲む」

「…うん、そうだね」


その言葉を合図に二人でビールを頼みなおし、頼んだ料理は次々と空になっていった。



ポケットの中で携帯が鳴った。

見ると、要注意人物からの電話。
何の用事かすごく気になったけれど、今はなんとなく出るべきではないと思った。

着信に気付かないフリをして、同時に朝田さんからの電話に少しドキっとした自分の気持ちにもフタをした。





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