予想外の恋愛
居酒屋を出るときに、家まで送るという近藤くんからの申し出によって、私の家まで二人で歩いた。
空にはキレイな満月が輝いている。
そういえば前に近藤くんとこうして歩いたときは、頼りない三日月だった。
「いつのまにか一人暮らしだったんだな。実家の場所は知ってるけどこっちは初めて知った」
「もうしばらく経つよ。一人暮らしって楽だけど大変なんだよね…あ、そこのマンションなの」
家が目の前に来たところで、私は近藤くんに気持ちを話す決意をした。
「近藤くん、あのね……!」
その瞬間、腕を引かれて近藤くんにぎゅっと抱き締められた。
あまりにも驚いて、言おうとしていたことが頭から抜けてしまって言葉が出なかった。
愛しいものを大事に包み込むように私を離さない近藤くん。
その力が更に強まって、私の首すじに近藤くんが顔を埋めた。
髪がさらっと頰に当たって、少しくすぐったい。
上空の満月に照らされながら、静かな夜に近藤くんの息遣いだけが聞こえた。
その時、少し離れたところに車が一台停まっているのが見えた。
(え……?)
そしてその車に、私は見覚えがあった。