予想外の恋愛



「…これぐらいは許されるかな」


そう言った近藤くんが、私の前髪を右手でかきあげた。



そして、私のおでこにそっと唇を押し当てた。



一瞬の出来事だったそれに驚いて思わず近藤くんの顔を見ると、まるでイタズラをした後の子供のようにニカっと笑っていた。

つられて私も笑顔になる。



こんな風に二人で心から笑いあえる日がくるなんて、別れたときは想像も出来なかった。



7年の月日はとても長くて、その間に良くも悪くも成長した私たち。

私に恋というものを教えてくれたのは間違いなくこの人で、それは私自身も近藤くんに与えることが出来ていたらしい。


別れた後に知れたことがたくさんあって、それはお互いの過去の後悔や誤解を解消してくれた。

きっと再会するべくして再会したのだ。
お互いが次に進めるように。



「これからも頑張れよ」

「そっちこそ。ビールのことばっかり考えてないで仕事も頑張りなよ」

「あ、言ったな!」



ありがとう、近藤くん。

どうかその笑顔がいつまでもステキでありますように。








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