予想外の恋愛
「なんだ、もう答えは出てるんじゃないか」
「あ…」
「たとえば最近ずっと大事そうにしてるその赤いコーヒーカップ。それは、ロープの先にあったものじゃないの?」
私の手の中にあるカップを指差した。
「大丈夫。きっとナギサちゃんのその手が傷付かないように守ってくれる色んな物や人が存在する。思いっきり引き上げてみなよ」
胸が高鳴った。
例えようのない気持ちが心の中でキラキラと光り出した。
怖がっている場合じゃない。
維持もプライドも捨てて貫きたい想いが、どんどん大きくなる。
溢れて弾け飛んでしまうまえに伝えたいと思った。
いつからか、自分でも気が付かないうちに生まれていた気持ち。
まさか朝田さんを好きになるとは夢にも思っていなかった。
出会い方は最悪で、嫌いだとすら思っていた。口は悪くて態度はでかくて、性格も難あり。
その彼にまんまと捕まってしまっていた。
次に会えるのがいつかもわからないけれど、早く顔が見たいと思った。