予想外の恋愛
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平日のお昼過ぎ。
カランと入口のドアが鳴り、客の来店を知らせる。
「いらっしゃいませ」
ちょうどカウンターの奥で洗い物をしていて手が離せなかった私に代わって店長が接客してくれている。
手が空いたところでフロアを覗くと、もうオーダーを取り終えたらしい店長が手際よくコーヒーを淹れていた。
用意されたカップは二つ。
「二名様ですか?」
「朝田さんと中島さんだよ」
「え」
店長がニヤニヤしながらそう言ってきた。
途端に私の気持ちは落ち着かない。
朝田さんが来た。
何を話そう。その前にまず普通に振る舞えるかどうか。
「じゃ、これ奥の席に運んでくれる?」
「わ、わかりました」
トレイにカップを二つ乗せて一歩ずつ足を進める。
奥に見えるスーツ姿にドキッとしてしまった。見慣れているはずなのに。
「こんにちは、お待たせしました!」
いつも通り、を心がけて声を出した。すると二人が同時にこっちを見る。
「ナギサちゃんだ。今日は休みなのかと思ったよ。なあ朝田?」
「………知らね」
少し違和感を覚えた。
朝田さんが冷たいのは慣れているけれど、今日は目も合わせないしいつもより更に素っ気ない。
二人の前にカップを置いて、中島さんに言葉を返す。
「ちょっと奥にいたんで」
「ナギサちゃんが休みの日に来ることってほとんどないから珍しいなーと思ったらやっぱりいた」
「割とほぼ毎日出勤してますよー」
あはは、と苦笑いする。
「…うるせーな、さっさと仕事戻れよ」