予想外の恋愛
「で、今日ナギサちゃん何時まで仕事?」
「え?えーっと…17時までですけど」
「うん丁度いいね。俺の勘は当たった。ねえ、仕事終わったらちょっと朝田の家行ってくれないかな」
「はい。……って、ええ!?」
あまりにも唐突すぎるお願いに思わず悲鳴を上げてしまった。
「多分あいつろくなもん食べてないと思うんだ。薬も飲んでないだろうし。メールの返事も来ないから生きてるかちょっと確認してきてくれない?あ、今から住所書くから」
そう言ってカバンからメモとペンを取り出した中島さんは、携帯の画面を見ながらスラスラと住所を書いていく。
そしてそれを私にむかって差し出した。
「ま、待ってください、無理!無理です!」
「どうして?他に頼める人いなくってさあ。会社の女の子達に頼んだら、弱ってる朝田を襲いかねないからねー」
「襲…?い、いや、本当に無理です!いくら中島さんの頼みでもっ!」
住所のメモを受け取ろうとしない私を中島さんがじっと見る。
その目は全力で何故行けないのか訴えているように見えた。
その目ヂカラに負けた私は一つ息を吐き出した。
「…中島さんも見てたでしょう?この前ここに来たときの朝田さんの態度」
きっと中島さんも不思議に思っていたはずだ。今までとは明らかに違ったから。