予想外の恋愛
ブンブンと首を横にふった。
中島さんの顔を見れなくて、俯く。
「じゃあ、好き?」
恥ずかしくて落ち着かなくて、下を向いたまま首を縦にふった。
好きなんだ。朝田さんのことをこんなにも。
「ナギサちゃん、顔上げて?」
頭上から優しい声が降り注いで、恐る恐る中島さんの顔を見た。
するととても優しい顔で微笑んでいた。
「三回目でやっと頷いたね。嬉しいよ、俺」
そうだ。
初めてこの質問をされたときは、嫌いだと即答した。
あの頃は本当に嫌いだと思っていた。だけど気持ちはどうであれ、最初から私の中で朝田博人という人の存在は大きかったのだ。
「行ってきなよ、あいつの家。それでちゃんと誤解といておいで。それでもそんな態度とるようなら俺が一発殴ってあげる」
「…一発といわず三発ぐらいお願いします」
「はは!りょーかい。大丈夫。俺はナギサちゃんの味方だよ」
中島さんの優しい言葉に素直に安心した。
中島さんの手から私の手にメモが渡され、それを大事に両手で包み込んだ。
会いに行こう、朝田さんに。
これは中島さんがくれたチャンスだ。無駄には出来ない。
「中島さん、ありがとうございます」
そう言うと中島さんは私の頭にポンポンと手を乗せて、さっきよりもっと優しい笑顔で頷いた。