予想外の恋愛





午後6時。

住所を頼りに朝田さんのマンションに着いた。
本当に私の家から近い。多分最寄駅も同じだろう。


一応、ここに来る途中で食材と薬と冷えピタを買ってきた。
もし朝田さんが自分で何か作って食べて薬を飲んでいたら無駄に終わってしまうけれど、まあそれはないだろうという中島さんの言葉を信じてみた。


「1002号室…ここだ」


10階建てのマンションの最上階。
ドアの前で一つ深呼吸して、思い切ってインターホンを押した。


「…はい」

「た、宅急便です!」


間違えた。宅急便ではない。
だけどこう言ったほうがドアを開けてくれる確率が高いような気がする。

緊張しながら待っていると、ドアの鍵をガチャっと開ける音がして、ゆっくりとドアが開かれた。


「…なにが宅急便だ。カメラに映ってんだよ嘘つき女」


顔を覗かせた朝田さんは、思っていたよりも体調が悪いらしい。
ドアにもたれかかるようにして体重を支えていて、熱があるせいで顔が赤い。

普段は見ることが出来ないセットされていない髪型やスウェット姿はなんだかとても無防備に見えて、胸がきゅんとなった。


「あの!中島さんから住所を教えてもらって来ました!突然来てしまってごめんなさい。体調は…かなり悪そうですね」

「ゴホッ……はあ?何勝手に来てんだよ。余計なことしなくていいから帰れ」


そう言ってドアが閉められそうになったのをとっさに阻止する。





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