予想外の恋愛
初めて入る朝田さんの部屋は、男の人の部屋にしてはとてもキレイだった。
…というより、あまり家具がなくて殺風景だ。
大きなテレビとオーディオ機器、ソファーにテーブル。それに小さめの本棚があるぐらいだ。
隣の部屋は寝室らしく、朝田さんはそこにあるベッドで横になっている。
白と黒を基調にシンプルに統一された部屋はなんだか朝田さんらしい。
キッチンはあまり使われている形跡が無く、冷蔵庫の中を覗くと栄養ドリンクや水しか入っていない。
余計なお世話かもしれないけれど、朝田さんの食生活が心配になった。
一つだけ、食洗機に入っているものがあった。
それは黒のコーヒーカップ。私とお揃いのものだ。
他の食器は使われている形跡がないのに、そのカップだけは使ってきちんと洗ってある。
それが嬉しくて、自然と顔が綻んだ。
卵入りのお粥を作りながら、明日も食べられるような簡単なおかずを作った。
きっと料理なんてしない朝田さんに、少しでも家庭料理の味を食べてもらえるように。栄養のあるものを食べてもらえるように。