予想外の恋愛
「あいつ、前に二次会でお前とペア組んでたやつだろ」
…近藤くんのことだ。
やっぱりあの家の前で遭遇したとき、しっかり見られていたらしい。
「あいつ、何な訳」
「何な訳って…」
「お前にとってのあいつって何」
二次会で近藤くんは迷わず私をペアに指名した。そして最後まで私をお姫様抱っこした。どういう関係なのか確かに不思議に思うだろう。
それに加えてあの夜は抱き締められていた。
もう正直に言うしかない。
「あの人は…高校の時の元カレです」
「…ふーん。あ、着替え終わった」
それを聞いてガチャっとドアを開け、つかつかと朝田さんの前に詰め寄った。
「あの人に、より戻したいって告白されたんです」
「…あっそ。別に俺には関係な…」
「だけど私、断りました」
「…は?」
「付き合えないって、はっきり言いました。だからもうあんな風に二人で会うことはこの先ないです」
誤解されたままなんて嫌だ。
今それを解いておかないと、また朝田さんの態度が冷たくなってしまうような気がする。
勘違いされたままなんて絶対嫌だ。朝田さんだけには絶対。
「…じゃあ俺が見たときにキスしてたのは何なんだよ」
「してません!されそうにはなったけどしてない!」
朝田さんはそこまで見て車で去ってしまったから、あの後のことを知らない。
だけどキスしたと思われていたなんて…。
なにより、近藤くんが私にキスしなかったのは私が朝田さんのことばかり見ていたからだ。