予想外の恋愛
「別に、ほっといてください」
「なあ、こいつの元カレってどんな感じ」
そう言ってマチに話しかけた朝田さんの顔は見るからに面白がっている。
マチは会いたいと思っていた男と話せて嬉しそうだ。
「そうですねえ、ちょうどこちらのお兄さんの様な」
「ん?俺?」
「中島みたいな?へーえ、お前やっぱこういう男が好みなんだ」
「うるさい。だいたい、人のことお前とかこいつとかって呼ばないてくださいっ!」
「はあ?」
「…もしかして朝田さん、この子の名前覚えてないですか?」
「え、朝田それはないよね?隣で俺がいつも呼んでるし」
そう言われた朝田さんは考え込む仕草を見せた。
別に覚えてもらってなくても良いのだけれどその口からどんな名前が出てくるのか興味はあるので待ってみる。
「待てよ……海っぽくて……カタカナだったか」
本格的に考え出したということはやはり覚えていないらしい。
ぶつぶつ言っていた彼が閃いた様に顔をばっと上げた。
そして真剣な顔で言ったのだ。
「オーシャン」