予想外の恋愛
「んっ…!」
力強く押し当てられた唇。
息も出来ないほど深く深く重なって、くらくらした。
胸をドンドンと叩いても、肩を押しても離れてはくれない。
無理矢理すぎるキスに無性に悲しくなった。
心にぽっかりと穴があいたように虚しい。
酔っているわけじゃない。
風邪を引いて頭が朦朧としているわけでもない。
それなら、何故。
「…っぷは!やめて!」
思い切り体を突き飛ばした。
「好きでもないのにこんなことしないで!」
そこまで言って朝田さんの顔を真正面から見て、ドキッとした。
泣きそうな顔をしている。
「…お前が何考えてるのか、さっぱりわからねえ」
朝田さんが立ち上がった。
玄関まで歩いて、途中で止まる。
そして背中を向けたままこう言った。
「少なくとも俺は、お前のことばっか考えてた。…二回も無理矢理キスするぐらいな」
玄関のドアが開く音がして、静かに閉まった。