予想外の恋愛
傲慢男と天邪鬼女
「ナギサちゃん!」
バタンと勢いよく店のドアが開かれたと思ったら、中島さんが飛び込んできた。
あまりの勢いに他のお客さんがジロジロと中島さんを見ている。
それに気付いた中島さんが気まずそうにしているのを見て、思わず笑いそうになった。
なんとも中島さんらしくない行動だ。
朝田さんが家に来たのは昨日のこと。
案の定夜はあまり眠れず、今日の仕事は昼から閉店までのシフトだ。
「こんばんは。お仕事の後に来て頂くのは珍しいですね?…どうしたんですか?」
急いで来たのか、少し息が乱れている様子の中島さん。この人がこんなに冷静さを失っているのは初めて見た。
すると中島さんは店長の姿を見つけ、駆け寄った。
「店長さん、昨日はありがとうございました。あとは引き受けます」
「お願いしますね中島さん。その顔を見るとやっぱり何かあったみたいですね」
「はい。ですがもう大丈夫だと」
うんうんと頷いた店長が私の方を向いた。
会話の内容が全然わからない私は首を傾げて二人の顔を交互に見た。
「ナギサちゃん、今日はもう上がっていいよ」
「…なに?どういうことですか?」
「どうせ閉店まであと少しだから。ね?」
「…はあ、ありがとうございます…?」