予想外の恋愛
懐かしい気分で横顔を眺めていたら、ふいに近藤くんが振り向いてバッチリ目が合ってしまった。
私が来ていることを知っていたのか、特に驚いた様子もなくじっと私を見ている。
完全に目をそらすタイミングを無くした私は彼と見つめ合うような格好になり、途端に緊張してきてしまった。
ひ さ し ぶ り
ゆっくりと口パクでそう言った近藤くんがニコッと笑った。
私は頷いて、ようやく目をそらして前を向き直した。
それは高校生の彼の笑顔そのままで。
一瞬だけあの頃に戻ったような感覚に陥った。
「ナーギサ」
「…はい」
「今の何?二人だけの合図?」
「………んなわけないでしょ」
あの爽やかキラキラ笑顔はまさに王子様だ。
あんな王子様に微笑みかけられたら、お姫様じゃなくても多少ドキドキしてしまうんじゃないだろうか。
「楽しくなってきたわねー」
マチが意味深な言葉を呟いた。
「どういうことよ」
「あんたの周りにはいい男がいっぱいいるってことよ」
「はあ?何それ」
「さあ?お酒でも飲んでゆっくり考えてみなさーい」
二人で意味もなくグラスをカチンと合わせて、ぐいっと口に運ぶ。
それからは、男達がマチに必死に話しかけているのをニヤニヤしながら眺めたり、それをサラッとかわすマチに感心したり。
お酒が進むにつれて会場はさらに盛り上がり、懐かしいひと時を楽しんだ。