予想外の恋愛



「…沖野さん」

「は、はい」

「嘘なの」

「は、はい?」

「私、朝田と付き合ってなんかいないわ」

「……はい?」

「ちょっと中島、なにこの子。はいしか言わないんだけど」

「お前の言い方が悪い。ナギサちゃんごめんね。川瀬が色々と、ほんっとーに色々と迷惑かけて誤解を生んでたみたいだね…」


いい感じに頭が混乱している。言われたことをすぐに脳で理解出来ないほどに。


「…私、悔しかったの。最近朝田の会社での雰囲気が変わったのは、あなたの影響なんでしょう」


そういえば中島さんが言っていた。
朝田さんがいい意味で人間らしくなってきたと。


「私は6年間も朝田と一緒に仕事してきたわ。なのに私じゃあいつを変えられなかったんだもの。それを突然出てきたカフェの店員だかなんだかにフラッと影響されちゃって」

「川瀬!」

「いいじゃない、これぐらい言わせてよ。もうとっくの昔に朝田に振られた女のやっかみよ」

「…え?」


つまりなんだ、川瀬さんは朝田さんの彼女じゃないというのか。
川瀬さんが一人でついた嘘だったのか。





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