予想外の恋愛
「私はあいつに随分前に振られてるの。その時は、女に興味がないからって理由だったのに…。最近では好きな人がいるからって言って、告白を断ってるの聞いちゃった。
あなたがいるカフェの場所を朝田に聞いたときだって、絶対会わせないとか言われて教えてくれなくて。…どれだけ大事にしてるか気付いちゃうじゃない、私だって」
川瀬さんが言うことは、初めて聞くことばかりだった。
きっとこの人は本気で朝田さんのことが好きで、振られても諦められなかったんだろう。
でも、だけど、それなら。
朝田さんの好きな人は…。
「俺さ、実は昨日もあのカフェ行ったんだ。ナギサちゃんいなかったけど」
「あ、そうなんですか。昨日は私お休みでした」
「そしたら店長がナギサちゃんのこと心配してたんだよ。”朝田さんの彼女が来店してから元気がない”ってね」
「あ…」
申し訳ない気持ちになった。
それから店長の優しさに胸がじんわりと温かくなった。
「驚いたよ。朝田に彼女がいるなんて知らないし、思い当たる女もいない。それで今日、もしかしたらと思って川瀬を問い詰めたら…ビンゴだよ。参ったねほんと」
「なによ人を犯罪者扱いして」
「お前ねえ…」
私はまんまと騙されていた。
じゃあ昨日の朝田さんは、一体どんな気持ちで家に来たんだろう。
ものすごくすれ違ったまま会話をしていたことになる。