予想外の恋愛
居てもたってもいられなくなって思わず席を立った。
「最後に一つ言わせてくれる?」
川瀬さんがそう言うので、カバンから財布を出そうとしていた手をとめた。
「私、朝田の彼女だなんて一言も言ってないわよ」
ニヤッと笑った川瀬さんを唖然と見つめた。
「想像力豊かなあなたが勝手に勘違いしただけ。…ま、せいぜい当たって砕けて来たらいいわよ」
馬鹿にしているのか少しは応援してくれているのか。
やっぱり私はこの人がものすごく苦手だ。
財布から取り出した千円札をバンッとテーブルに置いた。
「お二人とも、ありがとうございました。よろしければまたカフェへのご来店お待ちしております」
「はーい、また行くからよろしくねー」
「二度と行かないからよろしくねー」
「こら川瀬!」
最後に私もにこっと笑って喫茶店を飛び出した。
家までの道を全力で走る。
気持ちが高揚して、体温が高い気がする。
早く、早く。