予想外の恋愛
そこへ、朝田さんが戻って来た。
「中島、明日アポ取った会社が時間変更して欲しいって。来週のどっかそこ回る時間空いてねえ?」
「え?来週…ちょっと待って」
そう言って今度は中島さんが出て行ってしまった。
「…」
「…」
さっきまで朝田さんの話をしていただけに、二人になると気まずい。
いい加減仕事に戻ろうと回れ右をして歩き出した瞬間。
「待て」
何故か朝田さんに呼び止められた。
振り切る口実を探そうとフロアを見渡してみても店内はガランとしていて、店長は「どうぞ話しててください」と手を振っている。
「…なんですか」
「出たよこの中島との態度の差。なんなんだお前ほんとに」
「はあ?…用件がそれだけなら失礼します」
「まあ待て。お前に聞いておきたいことがある」
そう言った朝田さんの顔を見ると、まるで悪巧みをする子供のような笑顔。
ものすごく嫌な予感がする。
「…なに」
「お前さ、中島のこと好きなの?」