予想外の恋愛
呆れて物も言えないとはこのことだ。
「あんたねえ…」
「俺は中島と仕事上一緒にいることが多い。あいつの好みとか彼女いるかとかすぐわかる。俺に協力させるのが一番近道だと思うけど?」
「だっ…から、好きじゃないって何回言えば…」
「というわけで、お前の番号教えろ」
「はあ!?」
どうしてこんなことになってしまったのか。
そして何故私は言われるがまま番号を交換しているのか。
「いいか、元カレのことはもう忘れろ。どうせヨリ戻すつもりもねぇんだろ?中島はいい奴だ。俺が保証する」
朝田さんはきっと私のことが嫌いで。
今までまともに会話したことなんてなくて。
それなのにどうして。
「どうして?協力するなんてあんたの口から出てくるとは思わなかった。なんでここまで…?」
率直な疑問を口にすると、朝田さんは静かに立ち上がり伝票を手にした。
そしてあのドス黒い笑みで振り返りざまに私を見た。
「なんでって…面白いから」
会計を済ませ、中島さんの鞄を持って外に出て、二人で帰っていったのを見送ったあとも、私の口はしばらく開きっぱなしだった。