予想外の恋愛
沖野ナギサ、25歳。
コーヒーの香りが広がるカフェでアルバイトを始めたのは1年ほど前。
大学を卒業して1度は正社員として一般企業に就職したけど、ズケズケと物を言うこんな性格のせいで先輩のお姉様方ともめた。
嫌がらせはされるし、上司は見て見ぬ振りだし、じゃあ辞めてやるよと思ったのがもう1年前。
会社を辞めたその足で向かったこのカフェで、その魅力にやられてしまった。
この場所は良い。
非日常感に溢れている。
日頃の嫌なことを全て忘れて、ゆったりと流れる空気と音楽の中で美味しいコーヒーを飲む。
そうすると、自分はこの世界で本当にちっぽけな存在なのだと実感する。
自分の悩みなんてこの世の中からしたらどうでも良いことで、しょうもないことなのだ。
意気揚々とアルバイトとして駆け込み、充実した日々を送っていた。
だけど働き始めて半年程たったある日の夕方、事件が起きた。