予想外の恋愛


その日のシフトは夕方の4時までだった。

うちのお店ではケーキなどのデザートの他に軽食も用意しているので、ランチタイムは結構混み合う。
会社の休憩時間にくる人、ゆったり読書をしに来る人、たまに勉強している人なんかもいる。

お昼のピークを終え、気持ちも落ち着いたところで時計を見ると2時。
あと2時間。
楽しい時ほど時間はあっという間に過ぎる。

私はコーヒーの知識もないしよくカフェに行く訳でもない。
それでもこの仕事が楽しくて仕方ないのは、雰囲気が自分の波長と合っているからじゃないかと思っている。

もっと詳しく説明しろと言われても言葉に上手く出来ないから無理だけど。



空いた席の片付けをしていると、ドアがカラン、と鳴った。

「いらっしゃいませ!」

「アメリカン二つお願い」

「かしこまりました!」



スーツを着た男の人が二人、奥の席に座った。

「店長、アメリカン二つです」

「はいよ」



二人のうちの一人、背の高い男性には見覚えがあった。最近よく来てくれるお客さんだ。もう一人の男性は…ちょっと記憶にない。



< 4 / 218 >

この作品をシェア

pagetop