予想外の恋愛



12時50分。

指定された駅に着いた私は、朝田さんの姿を探した。
携帯を見ても、着信はない。

どうやらまだ来ていないようなので、駅の前にあるロータリーのベンチに腰掛けた。




13時。

こちらに向かってくる人影を見つけた。

待ち合わせ時間ぴったりに来たのは、朝田さんではなかったーーー。



「あ、やっぱりナギサちゃんだったんだ。ごめんね、待った?」


爽やかな王子様のような笑顔で真っ直ぐ私のところに来てくれたのは。



「な、中島さん…!?」

「いやー、朝田がさ、急に来れないなんて言うからびっくりしたよ。でもナギサちゃんが来てくれて助かったー!」



…いまいち状況がつかめない。
どうやら中島さんは、今日ここに私が来ることを知っていたらしい。



「あのー私、朝田さんに呼び出されてここに来たんですけど…。一体何がどうなってるんでしょうか」

「え?ちょっと待って。…何も聞いてないの?」

「はい…」



中島さんが驚いた様子で私を見ている。

いつもとは違って私服姿の中島さんはなんだか新鮮で、絵に書いたようなイケメンだ。

そのかっこいい姿に見惚れる私と、唖然としている中島さん。

2人で無言で立ち尽くしたのだった。










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