予想外の恋愛
「あああああどうしよう…いや、どうもしない…のか?」
「知らねーわよ」
「待って!見捨てないで!」
別れたことを後悔していると言ってきた近藤くん。
しかしそれきり、会ってもいないし連絡も取っていない。
あの夜の会話はまるで夢だったように思えてくる。
もしかしたら近藤くんは、酔っていただけだったのかもしれない。
「…マチはさ、私達が付き合ってた頃のこと全部知ってるじゃない。近藤くんが後悔するような要素なんて、あると思う?」
「…ナギサはどう思うの」
「私は、全然信じられないんだ。近藤くんが付き合ってくれたのさえまぐれかと思ってたし、私のこと好きなのかわからないままだったし。振られた時だって…」
一方的だったのだ。
話があると言われ、夕日が差す放課後の教室に二人で残った。
いつもは優しい近藤くんが見せる無表情に、嫌な予感がした。
そして言われた。
ナギサの気持ちも、俺の気持ちもわからない。だから別れて欲しい、と。
とても好きだったのに、その気持ちがわからないと言われた。
つまり、伝わっていなかったのだ。
伝えられていなかったのだ。
そう思うと、今まで付き合ってきた期間はなんだったのか。
好きかわからないまま、近藤くんは一緒にいてくれたのか。
隣で笑っていてくれたのか。
彼を縛り付けていたような気がした。
だから強がって、なんとも思ってないように振る舞って、涙を見せないように踏ん張って…。
それで終わり。
ただの、私の、一方通行な恋だったのだと思った。