予想外の恋愛
「で、お前はここで何してるわけ」
「え?え、えっと…あ、そう!綾の二次会に参加してて…ってまさか」
「俺は新郎側の友人としてここに呼ばれてる。なんだよ、あの嫁はお前の友達ってか」
「うそ、すごい偶然」
お手洗いの前の通路は誰も通ることはなく、フロアの賑やかさが聞こえてくるとはいえ人の気配がないので静かだ。
まさかここで二人して倒れこむ事件があったとは誰も思っていないだろう。
「…めんどくせーから、戻ったら一切話しかけんなよ」
カチンときた。
「はあ!?話しかけるわけないでしょ!そっちこそ近寄ってこないでよ!」
「おいお前客に対して敬語忘れてんぞコラ」
「今はプライベートなんで関係ないですう!さようなら!」
勢いよく朝田さんの横を通り過ぎてズカズカとフロアへ向かった。
さっきまであんなに近い距離にいたのに、急に冷たい態度になった朝田さん。
それになぜか無性にイライラして、ムカムカして。
だけど…。
そっと唇に手を触れてみる。
朝田さんの指の感触が、そこにハッキリと残っていた。