予想外の恋愛
「あ、ナギサどこ行ってたのよ」
「マチごめん。ちょっとトイレ行ってた」
誰にも、マチにさえも、ここに朝田さんがいることは何故か言いたくなかった。
なんとなく自分だけの秘密にしておきたいような気がしたのだ。
「もうみんな結構出来上がってるわよー。全然飲んでないのはあんたと…そこの彼ぐらい」
そういってマチが指差したのは、少し離れた場所に座り直している近藤くん。
「…どうして近藤くんが全然飲んでないかわかる?」
「さあ…」
「あんたとちゃんと話したいからだと思うわよー?ほら、こっち気にしてる」
…一度ちゃんと向かい合う必要があると思ったはずだ。
何を躊躇っているのだろう。私はそろそろ、前に進みたいのに。
引きずっているわけじゃない。ただ心残りなこと、気になることをスッキリさせたい。
じゃないと私はきっと次の恋愛に進めない。
…次の恋愛?
したいと思ってるの?
それとも、もうしてるの?
誰と?