予想外の恋愛
「ではまず、男性を5人くじで選びます」
司会者がそう言うと、新郎新婦の前にボックスが置かれる。
あの中に男性全員の名前が書いてある紙が入っているのだろう。
「名前を呼ばれた方は前に出てきて下さい!」
そして一人、また一人と名前を呼ばれた男性が席を立つ。
嬉しそうな顔をしている人もいれば、見るからに自信が無さそうな人もいて結構面白い。
「最後の一人は…近藤樹さんです!前にどうぞー!」
ぎょっとして近藤くんの方を見ると、本人もかなりぎょっとした顔をしていた。
そして仕方ない、といった様子で席を立ち前へと進んだ。
同級生達からは野次が飛んでいる。
確かに選ばれなかった人達からすると、これほど面白い見せ物はないだろう。
「じゃあ続いて女性を5人選ぶのですが…」
マチと目を合わせて祈る。
「普通に選んでもつまらないので…男性側に、自分とペアになって欲しい人を選んでもらいます!ちなみに選ばれた女性に拒否権は…ありません!」
ありません!テヘ!じゃない!
普通に選ぶほうがまだマシだ。選ばれても運が悪い、で済むから。
だけど会場は私の気持ちを無視して大いに盛り上がっている。
横からマチが肘でつついてきたけど、無視を決め込んで出来るだけうつむいた。
…マチが言おうとしていることは充分にわかるから。