予想外の恋愛
最初に選ばれた男性から、ペアの女性を選んでいく。
見るからに背の低い子や華奢な子を選んでいくのは当然の結果だろう。
女の子達がそわそわしているのがわかる。
お姫様抱っこなんて、普通に生活していればそうそうされるものじゃない。
期待の眼差しを男性陣に向ける子は思いの外多いみたいだ。
「じゃあ最後に近藤さん、ペアの指名をどうぞ!」
その瞬間、女の子達がきゃーきゃー言い始めた。
確かに、近藤くんはかっこいい。
同級生で近藤くんを狙っている子はもちろん、今日初めて会う子達もお姫様抱っこして欲しいと思うぐらいに。
「じゃあ…沖野ナギサさん、お願いします」
同級生の目が一斉にこっちを向く。
それを追いかけるようにして、会場全体の視線が突き刺さった。
堪らずマチを見ると、全力でニヤニヤ顔だ。
「ナギサ、お願い。俺とペアになって」
きゃあっとかひゅーとか言う声がして、もう恥ずかしくて仕方がない。
ふいに、離れた席に朝田さんを見つけてしまった。
驚いた顔で私を見ている。
「お、沖野さん!近藤さんからのご指名です、前にお願いしまーす!」
もう腹をくくるしかない。
好奇心の目で見られながら、前に出て近藤くんの隣に立った。
背は別に低いほうではない。
太ってはいないけれど特別華奢なわけでもない。
それでも私が選ばれたことに、全員が何かを勘ぐるだろう。