予想外の恋愛
マチの言葉の意味を図りかねていると、後ろから誰かに名前を呼ばれた。
「ナギサ、今からちょっと時間ないかな」
「近藤くん…」
「話があるんだ」
断るわけにはいかないと思って頷いた。
「じゃあ私は先に帰るわね。ナギサ、また連絡する」
マチを見送り、近藤くんと二人で外へ出た。
会場近くの公園のベンチに二人腰掛ける。
近藤くんの隣に座ると、付き合っていた頃にもこうして公園のベンチで話したことがあったな、と思った。
あの頃は二人共まだまだ子供で、近付きたいのに近付けなくてもどかしかった。
「ごめんな、いきなり」
「いや、全然いいよ。急いでもなかったし」
「よかった。…あのさ」
近藤くんは目を伏せている。
まるで顔を見られたくないかのように、下を向いている。
「俺、ずっと謝りたかったんだ。ナギサのこと誤解してた」
予想外の言葉に驚いた。
謝られるようなことをされた記憶はない。
「高校生の時、ナギサが俺に告白してくれて付き合うことになって。結構、嬉しかったんだ。俺はその時ナギサのこと可愛いなって思ってたし、そうなればいいなって思ってたから」