予想外の恋愛
「ありきたりな言葉だけど、別れてから気付くってこういうことなんだなって。ずっと謝りたくて話しかけようとしてたけど、ナギサはもう俺に近付こうとしなかったし…無理に話しかけて嫌われるのも嫌で、出来なかった」
「近藤くんが謝ることじゃない…」
「俺の気がすまないんだ。だから言わせてもらう。あの時は本当にごめん」
体をこちらに向けて頭を下げる近藤くん。
何も悪くないのに。悪いのは私なのに。
「や、やめて!ほんとに…」
「…っていうのを、実はナギサの卒業アルバムにもこっそり書いてる」
「…ええ?」
「あ、やっぱり気付いてないんだ。アルバムの一番後ろに寄せ書き出来るページあるだろ?あそこにこっそり書いてる」
「うそ!いつの間に!?」
「卒業式の日に見つからないように書いた。…実はちょっと賭けてたんだ。卒業してからもしナギサがそれに気付いたら、連絡が来るかもしれないって」
「…気付かなかった…」
そう言ったらははっと笑っているけれど、あの頃の近藤くんがどんな気持ちでそれを書いたのか。
きっとすごく勇気がいっただろう。
「…ずっと忘れられなかったよ。大人になって身も心も成長してから、もう一回ナギサに会いに行くって決めてた」
次の瞬間、ふわりと体を包まれた。
近藤くんに抱きしめられているのだと気付き、心がザワザワと騒ぎ出す。