予想外の恋愛
「好きだよ。もう一回俺とやり直して欲しい」
耳元で囁かれる甘い言葉。
成長した近藤くんの、力強い腕と首筋。
大好きだった笑顔。
夢中だった恋。
そのすべてが私を刺激して、過去にタイムスリップする。
ふいに腕の力が緩まったと思ったら、近藤くんの顔が目の前に迫っていた。
キスされる。
瞬間的にそう感じ取った。
思わず目を閉じそうになった。
だけど寸前で近藤くんが止まった。
「…今、何考えてる?」
そして私の肩を持って距離をとった。
「…すぐに返事はしなくていい。よく考えて欲しい。答えが出たら、教えて?」
「…わかった」
「うん。待ってるから」
キスしようと思えば出来たはずだ。
私も拒むことはしなかった。
だけど彼はしなかった。
彼が、とても優しい人だということを思い出した。