予想外の恋愛
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「いらっしゃいませ!……あ」
「ナギサちゃん久しぶり。奥の席空いてる?」
「空いてます!どうぞー!」
この日、久しぶりに中島さんが来店してくれた。
あれっと思いドアの方を見ると、これまた久しぶりの仏頂面があった。
「…相変わらず邪魔だなお前。どけ」
「………いらっしゃいませ」
ついでに言うと、こんなに愛想なくいらっしゃいませと言うのも久しぶりだ。
「なんだお前。それが客に対する態度かコラ」
「あっ中島さん、アメリカンでよろしいでしょうかー」
「うん、二つお願いね」
「一つですね!かしこまりましたー」
「吊るすぞテメェ!」
そして相変わらず怖い。というかこの人に対してだけこんな物言いをする自分も怖い。
カウンターへ向かい店長にオーダーを伝えると、異様にニヤニヤしている。
「よかったねナギサちゃん。久々に生き生きしてるナギサちゃんを見れて僕は嬉しいよ」
「待ってください、逆です。奴がいないほうが私はとても生き生きします」
「え?誰も朝田さんが来たからなんて言ってないけど?てっきり中島さんに会えて嬉しいのかと思ってたけど…なんだそっかー、違うのかー」
「…今までありがとうございました」
「ああ!待って待って嘘!嘘だよ!」
…どれだけ朝田さんに対してときめいたとしても、次に会うときにはこうやって馬の合わなさを再確認するのだ。
そして私のあのドキドキを返して欲しいとすら思うのだ。