予想外の恋愛


✳︎✳︎✳︎



「いらっしゃいませ!……あ」

「ナギサちゃん久しぶり。奥の席空いてる?」

「空いてます!どうぞー!」



この日、久しぶりに中島さんが来店してくれた。
あれっと思いドアの方を見ると、これまた久しぶりの仏頂面があった。


「…相変わらず邪魔だなお前。どけ」

「………いらっしゃいませ」


ついでに言うと、こんなに愛想なくいらっしゃいませと言うのも久しぶりだ。


「なんだお前。それが客に対する態度かコラ」

「あっ中島さん、アメリカンでよろしいでしょうかー」

「うん、二つお願いね」

「一つですね!かしこまりましたー」

「吊るすぞテメェ!」


そして相変わらず怖い。というかこの人に対してだけこんな物言いをする自分も怖い。



カウンターへ向かい店長にオーダーを伝えると、異様にニヤニヤしている。


「よかったねナギサちゃん。久々に生き生きしてるナギサちゃんを見れて僕は嬉しいよ」

「待ってください、逆です。奴がいないほうが私はとても生き生きします」

「え?誰も朝田さんが来たからなんて言ってないけど?てっきり中島さんに会えて嬉しいのかと思ってたけど…なんだそっかー、違うのかー」

「…今までありがとうございました」

「ああ!待って待って嘘!嘘だよ!」



…どれだけ朝田さんに対してときめいたとしても、次に会うときにはこうやって馬の合わなさを再確認するのだ。

そして私のあのドキドキを返して欲しいとすら思うのだ。




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