予想外の恋愛



「…あの後すぐ帰ったのか?」

「え…」

「二次会の後」


二次会の後は、近藤くんに公園で告白されていました。
とは言えるはずもなく、動揺を隠しながら嘘をついてしまった。


「帰りましたよ。三次会には参加しなかったので」

「そうか」


どうしてそんなことを聞いてくるのかがわからない。
というか、トイレ前で会ってからは一度も近寄っていないし話してもいない。
私だって朝田さんがあの後どうしていたかなんて知らないのだ。


「…朝田さんは、」

「あ?」

「朝田さんはすぐに帰ったんですか?」


たいして意味もなく同じ質問をしてみた。
すると朝田さんは何故か眉間にしわを寄せて、いかにも不機嫌ですといった顔をする。


「…俺は、会社から直接だったし急いでたから車で行ってた」

「え、そうだったんですか?じゃあお酒は…」

「飲めるわけねぇだろ。よって三次会に行く意味もなし」


てっきりお酒を飲んでいると思っていた。
あの意味のわからない行動も、もしかしたらお酒のせいかもしれないと思っていたのだ。

だけど違ったらしい。

つまりあれを、素面でやったと…。


「…で、だ。お前の家、俺んちから結構近かったから」

「?はあ、そうでしたね」

「もし二次会の後すぐ帰るんならと思って…」

「?…どういうことですか?」


尋ねると、ギロっと睨まれた。


「ひっ」

「…よっぽど意識してないらしいな」

「な、なにがよ!?」


ずももも、とかいう効果音が聞こえてきそうだ。
凍りつきそうな目付きと、地を這いそうな声で威嚇された。


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