予想外の恋愛








「ーーー再来週の土曜日?」

「はい、もうシフト希望出しちゃったんで無理だったらいいんですけど…」

「ああ、いいよ。再来週の分はまだシフト組んでないから休んで大丈夫」

「あ、ありがとうございます!」



店長が快く休ませてくれることになった再来週の土曜日。
中島さんに空けといてと言われ、駄目元で店長に言ってみたらどうやら間に合ったみたいだ。


「なにか急用?」

「うーん、そうみたいです」

「なになに、面白い話?」

「いえ全く」


噂好きの店長に下手に話すとややこしくなること間違いなし。

第一、何の用事なのか私自身知らない。
だけどあの時の中島さんが深刻そうな顔をしていたからどうしても気になってしまう。

その日までに中島さんからなにか連絡があるかもしれない。というかないと困る。



「ナギサちゃんちょっと元気ない?」

「…店長は、元気出したいときは何しますか?」

「俺は自分で最高のコーヒーを淹れて飲む。そしたら大概元気出るよ」

「…私も、自分でコーヒー淹れてみたいです」

「いいよ、教えてあげる。おいで」



初めて豆から自分で淹れたコーヒーは、店長のものとは比べ物にならないほど酷かった。

今の自分の気持ちがそのまま味に出てしまったような気がした。




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